〜よみがえった柳原銀行と活気あふれるその時代〜





柳原銀行記念資料館開設特別展を開催するにあたって

 本日は、柳原銀行記念資料館開設特別展「柳原銀行と明石民蔵」〜よみがえった柳原銀行と活気あふれるその時代〜に、ようこそお越しくださいました。

 今回の特別展は、柳原銀行が、地域の資料館「柳原銀行記念資料館」として新たな一歩を踏み出す記念として企画しました。ここでは柳原銀行と、銀行が設立・発展を遂げた活気あふれるその時代をあざやかによみがえらせることをテーマに、1889年(明治32)、同和地区内に唯一設立された柳原銀行と、初代頭取で柳原町(現崇仁地区)長も務めた明石民蔵を、当時の資料を中心に構成し展示しています。

 この時代の柳原町は、1883年(明治16)頃から「衰微ノ兆」があらわれ「惨状ハ見ルニ忍ザルモノアリ」と『柳原町史』にあります。これに、明石をはじめとした人々が自らの経済力をもって立ち向かい、自らの解放をも目指しました。明石らの試みは「自主的改善運動」と呼ばれ、このピークに柳原銀行の設立があります。

 柳原銀行は地元産業の振興や教育の向上に大きな役割を果たし、大正期には山城銀行と改称し営業も拡大しましたが、金融恐慌など時代のうねりの中で1927年(昭和2)に倒産し、明石もまた晩年には自らの志の中で全財産を失うこととなります。

 皆様には、柳原銀行設立期のいきいきとした時代の息吹とともに、明石民蔵の生涯そのものともいえる「自主的改善運動」の軌跡を通して、水平社への芽生えを感じていただければ幸いです。

 当館では、今後とも同和問題をはじめとした人権資料を中心に、特別展や常設展を開催してまいります。皆様には建物から設立者の熱意を感じていただきますとともに、展示を通して様々な人権問題への関心を高めていただきますことを期待しています。

 最後に、開催に当たり、貴重な資料を提供していただいた皆様をはじめ、本展にご支援ご協力を賜わりました関係各位に心からお礼申し上げます。

 1997年(平成9)11月

京     都     市

柳原銀行記念資料館運営協議会


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